
STEP5
地盤診断に必要な図面を知ろう
あなたは、自分の土地が本当に安全かどうか、不安に思ったことはありませんか?
もしも大地震が起きたら、自分の家は液状化や崩壊などの災害に遭わないでしょうか?
そんな不安を解消するためには、地盤診断が必要です。
地盤診断とは、土地の地形や地質を調べて、そのリスクを評価することです。
地盤診断を行うことで、安全で快適な土地選びや建築計画ができます。
また、建築基準法や耐震基準に基づく設計や施工にも必要です。
しかし、一般的な地盤診断は、地盤を掘削するボーリング調査などを伴い、費用や時間がかかります。また、その評価には専門的な知識が必要です。
そこで、この記事では、【無料でできる地盤診断マニュアル】として、典型的な地形と地質、その他の専門知識について、できるだけ簡単に解説します。
そして、インターネットで公開されている地形図や地質図、ボーリング柱状図を利用して、その土地の状況を【無料】で調べる方法を紹介します。
さらに、この記事では、ボーリング柱状図データだけで通常は判断が困難な地層区分や液状化診断ができるサービスも紹介します。
このサービスは、現地調査や掘削などの費用や時間がかからず、地質の専門家による信頼性の高い診断結果が得られます。
あなたも今すぐ自分の土地の安全性を確認してみませんか?
地形と地質の基礎知識から学ぶ地盤診断の必要性と方法についてご一緒に見ていきましょう。
この記事では、「STEP5 地盤診断に必要な図面を知ろう」について、まとめています。
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【目次】
自分で地盤診断をする前に覚えよう 5個のSTEPと18個のWORD
WORD.1 | 山地
WORD.2 | 丘陵地
WORD.3 | 台地
WORD.4 | 低地
WORD.5 | 人工地形
●STEP2 地質を知ろう(Ⅰ) 時代で分れる3種の地層と特徴
WORD.6 | 人工層
WORD.7 | 沖積層
WORD.8 | 洪積層
●STEP3 地質を知ろう(Ⅱ) 粒径や硬さで分れる4種の地質と特徴
WORD.9 | 粘性土(粘土・シルト)
WORD.10| 砂
WORD.11| 礫
WORD.12| 岩盤
WORD.13| ボーリング柱状図
WORD.14| N値
●STEP5 地盤診断に必要な図面を知ろう
● STEP5 地盤診断に必要な図面を知ろう
地盤診断に必要な図面を知って、調べて、安全・安心な生活を送ろう
あなたは、自分が住んでいる場所がどんな起伏や特徴を持っているか気になったことはありませんか?
また、その場所がどんな土や岩盤からできているか、そして、それらの地下の様子が気になったことはありませんか?
こうした地形や地質の状態は、建物の基礎や設備の設計や施工に大きな影響を与えます。
また、地震や豪雨などの災害に対する耐性は地形や地質の状態によって変わります。
しかし、多くの人は、自分の住む場所の地形や地質の状態についてあまり意識していません。それは、危険なことかもしれません。
この記事では、地盤診断を行う際に用いられる地形分類図や地質図、地質断面図、液状化マップについて、わかりやすく紹介します。
これらの図面を知ることは、あなたの生活をより安全・安心にするためのヒントになります。ぜひ、最後までお読みください。
WORD.15 | 地形分類図
15.1 | 地形分類図とは何?
地形分類図とは、日本の地形を細かく分類して地図上に色分けして表示させた図面です。
地形分類図を見ると、地図上の色分けされた範囲によって、その土地がどんな地形かを知ることができます。
さらに地形のもつ特徴を知ることで、地形がどんな過程でできたか、どんな災害に注意しなければならないかなどがわかります。
なお地形分類図に表示される地形は、山地や台地、低地や河川、海岸や湖沼などの大きな区分だけでなく、崖や地すべり、扇状地や自然堤防、旧河道や後背低地、干拓地や埋立地などの細かな区分もあります。
15.2 | 地形分類図の見かた
地形分類図は色や記号で様々な地形が表されています。
色や記号の意味は、通常、凡例といわれる地形を説明する表を見ることで確認できます。
ここでは、参考として、「国土地理院」による品川駅周辺の「地形分類図」を見てみます。
なお、この記事で紹介した地理院地図による「地形分類図」の使用方法は、別の記事で紹介していますので、いますぐ使用してみたい方は、そちらをご覧ください。
地理院地図による地形分類図の使用方法はこちらから
下図は、品川駅周辺の地形分類図(右側の地図)とその凡例(左側の表)です。地形分類図をみると、色分けされた各地形が地図に彩られています。
品川駅の周辺を見てみましょう。
品川駅周辺はグレーに色分けされた地形に該当していることがわかります。
次に、凡例を見てみましょう。
グレーに色分けされた地形は「旧水部」に該当することがわかります。
凡例より、ここで区分される旧水部は、江戸時代または明治期から調査時までの間に海や湖、池・貯水池であり、過去の地形図などから水部であったと確認できる土地で、その後の土砂の堆積や土木工事により陸地になったところであることがわかります。
また、旧水部の部分は、地盤が軟弱で、液状化のリスクが大きく、沿岸部では高潮に注意が必要であることがわかります。
WORD.16 | 地質図
16.1 | 地質図とは何?
地質図とは、日本の地質を細かく分類して地図上に色分けして表示させた図面です。
地質図には、表土の下にある地層の種類、年代、分布、構造などが色や記号で示されています。
地質図を見ると、色分けされた範囲によって、その土地がどんな地層でできているかを知ることができます。
さらに地層のもつ特徴を調べることで、過去にどのような変化を経ているか、どんな自然災害に備えなければならないかなどがわかります。
16.2 | 地質図の見かた
地質図は色や記号で様々な地質が表されています。
色や記号の意味は、通常、凡例といわれる地質を説明する表を見ることで確認できます。
ここでは、参考として、「国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター」による品川駅周辺の「都市域の地質地盤図」を見てみます。
なお、この記事で紹介した都市域の地質地盤図の使用方法は、別の記事で紹介していますので、いますぐ使用してみたい方は、そちらをご覧ください。
都市域の地質地盤図の使用方法はこちらから
下図は、品川駅周辺の都市域の地質地盤図(右側の地図)とその凡例(左側の表)です。
都市域の地質地盤図をみると、色分けされた各地層が地図に彩られています。
品川駅の周辺を見てみましょう。品川駅周辺は薄茶色に色分けされた地層に該当していることがわかります。
次に、凡例を見てみましょう。薄茶色に色分けされた地層は「埋立層」に該当することがわかります。
地質地盤図より、品川駅周辺における表部付近の地層は、「埋立層」で構成されていると診断できます。
WORD.17 | 地質断面図
17.1 | 地質断面図とは何?
地質断面図とは、例えばケーキを切ってその断面を見るように、地図上に引いた線にそって垂直に地面を切断したときの断面を真横から見た図面です。
地質断面図をみれば、地中の地層がどう分布しているか、どんな構造を持っているかを調べることができます。
地質断面図には、岩石や地層の種類、年代、厚さ、などが色や記号で示されています。
地質のもつ特徴を調べることで、その土地の地盤の強さや安定性、自然災害の危険性、地下資源の有無などがわかります。
17.2 | 地質断面図の見かた
地質断面図は色や記号で様々な地質が表されています。色や記号の意味は、通常、図面の端に表示される凡例を見ることで確認できます。
ここでは、参考として、「国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター」による「都市域の地質地盤図」を利用して、品川駅周辺の地質断面図を調べてみます。
なお、この記事で紹介した都市域の地質地盤図の使用方法は、別の記事で紹介していますので、いますぐ使用してみたい方は、そちらをご覧ください。
なお、この記事で紹介した都市域の地質地盤図の使用方法は、別の記事で紹介していますので、いますぐ使用してみたい方は、そちらをご覧ください。
都市域の地質地盤図の使用方法はこちらから
下図は、品川駅周辺の都市域の地質地盤図に地質断面図を描くための基準線を示したものです。
図中の赤線が地質断面図の基準線です。
ここでは、赤線にそって、垂直に地盤を切ったときの地質断面図を調べます。
次に、品川駅周辺の地質断面図を見てみましょう。
品川駅周辺には水色と紺色、薄緑色の地層が分布していることがわかります。
次に、凡例を見てみましょう。水色に色分けされた地層は「沖積層」、紺色に色分けされた地層は「東京層下部」、薄緑色に色分けされた地層は「上総層群」の地層に該当することがわかります。
地質地盤図より、品川駅周辺は、「沖積層」や「東京層下部」、「上総層群」の地層で構成されていると診断できます。
WORD.18 | 液状化マップ
18.1 | 液状化マップとは何?
液状化とは、地震などの強い振動によって、地下の水分を含んだ砂や泥が水のように流れる現象です。
液状化が起きると、建物や道路などの地上の構造物が傾いたり、沈下したり、破壊されたりする危険性があります。
液状化は、地盤が弱くて水分を多く含む場所で発生しやすいとされています。
液状化マップとは、地震が起きたときに、どの地域で液状化が発生する可能性が高いかを示した地図です。
液状化マップは、地形や地盤の特性に基づいて、液状化の発生傾向を色分けして表しています。液状化マップを見ることで、自分の住む地域や働く場所の液状化リスクを把握することができます。
18.2 | 液状化マップの見かた
液状化マップでは、一般的には赤色や橙色で液状化の発生傾向が強い場所、青色や緑色で弱い場所を示しています。
ただし、色分けの基準や段階は、作成者によって異なる場合があるので、必ず凡例や説明文を確認してください。
ここでは、参考として、東京都による品川駅周辺の「液状化予測図」を見てみます。
なお、この記事で紹介した「液状化予測図」の使用方法は、別の記事で紹介していますので、いますぐ使用してみたい方は、そちらをご覧ください。
液状化予測図の使用方法はこちらから
下図は、品川駅周辺の液状化予測図とその凡例です。液状化予測図をみると、地図が液状化の危険性毎に色分けされていることがわかります。
品川駅の周辺を見てみましょう。品川駅周辺は黄色や緑色に色分けされていることがわかります。
次に、凡例を見てみましょう。
黄色に色分けされた部分は「液状化の可能性がある地域」、緑色に色分けされた部分は「液状化の可能性が低い地域」に該当することがわかります。
液状化予測図より、品川駅周辺は、「液状化の可能性がある~液状化の可能性が低い地域」に該当していると診断できます。
なお、ここで紹介した地形分類図や地質図、地質断面図、液状化マップを使うと、品川駅周辺については、概ね下記のような地盤診断を行うことができます。
【品川駅周辺の地盤診断結果】
品川駅の周辺は、昔は水部であった土地が、その後の土砂の堆積や土木工事により陸地になった「旧水部」の地形に該当する。
なお、一般的に、旧水部は、地盤が軟弱で、液状化のリスクが大きく、沿岸部では高潮に注意が必要である。
品川駅周辺の表部の地質は、旧水部を埋め立てた、埋立層で構成される。
また、その下位は、沖積層や東京層下部、上総層群の地層が分布する。
この地域は、「液状化の可能性が低い~可能性がある」地域に該当している。
以上が、 地盤診断に必要な図面についてです。
準備ができたら、ジオネスト公式サイトの地盤診断マニュアルを活用して、実際に気になる土地の地盤診断に必要な図面を調べてみましょう。
ジオネストでは、ご自身で地形を調べられるウェブサイトをピックアップして整理し、それぞれのウェブサイトの使用方法をマニュアル化して公開しています。
さらに、ジオネストは、ご自身で地盤診断ができないお客様に対して、地盤診断を代行するサービスを行っています。
このサービスは、現地調査や掘削などの高額な費用や時間がかからず、地質の専門家による信頼性の高い診断結果が得られます。
プロの診断が必要な方は、ぜひ、ジオネストのサービスをご利用ください。